■マコの傷跡■

■マコの傷跡■

chapter 4



~ chapter 4 “カサ”~




ある日、学校帰りにグループ全部の子が家に寄った。
ウチは両親共働きだったのでいい遊び場所になっていきそうだった。
勝手に台所に行き、勝手に冷蔵庫を開け、目ぼしい物を見つけると
「これ、食べていい?」という。
なんだろうこの子達、と思った覚えがある。
人の家でそんな事をするのは普通じゃないと思った。

翌日から私は誰も居ない家の中に向かって大きな声で
「ただいまぁ!!」と言いながら家に入るようになった。
いかにも、親が家にいるように見せかけて。

そんな対応が、他の時にも感じる事があったのか
私はそのグループ内でそのうち仲間はずれにされはじめていった。
グループに取り入れているようで時々無視する。


ある雨の日、カサがなくなった。
お気に入りだったスヌーピーの黄色いカサ。
どうせ彼女達の仕業だろうと思った。
でも誰かが間違って持って行ってしまったんだと思うようにした。
もしくは可愛いカサだったから誰かが欲しくなっちゃったのかもしれない、と。

数日後、最初に仲良くなった活発な子が1人でウチにやってきた。
泣きながら。ボロボロに折れた私のカサを持って・・・。

やっぱりグループの子がやったんだった。
私のだと知って盗み、みんなでボロボロにやぶり、折り、放置した。
「仲間はずれにされるのが怖くて、私も一緒にやってしまった」と彼女は泣いた。
わかっていた。でも違うと思いたかった。

私は彼女に怒ってない、と告げた。学校では話しかけなくてもいいとも言った。
その代わり、その子とは学校が終わってから2人でよく遊んだ。



◆chapter 4について(日記) へ

◆chapter 5 へ


© Rakuten Group, Inc.